令和2年分確定申告改正点

税務

 従前の「学校卒業後、一つの会社で定年まで勤めあげ、年金生活に入る」というライフコースが崩れ、多様な働き方が増えつつある現在、「働き方改革」を後押しするという観点から改正されました。
 要は、給与所得控除、公的年金等控除、青色申告特別控除を10万円づつ減額し、その分基礎控除を10万円増額するということで、控除額の増減は差し引きゼロになり今までと変わらない方が多いと思われます。
 ただし、高額所得者は、控除額が更に減額するように改正されています。つまり一部増税ですね。
恐ろしいのは、これがほとんど平成30年度の改正(令和2年分から適用)なので、コロナでばら撒いた今後どんな増税が来るのかな、、、と。
主な改正事項は8つ
1 基礎控除
2 給与所得控除
3 公的年金等控除
4 扶養親族等の範囲
5 配偶者特別控除
6 所得金額調整控除
7 青色申告特別控除
8 未婚のひとり親控除の創設(令和2年度の改正)

1 基礎控除
 現在は一律38万円の基礎控除ですが、改正により合計所得金額2400万円以下の人は48万円の基礎控除となります。2400万円超2500万円以下の人は16万円づつ控除額が減り、2500万円超の人は0円となりました。

        合計所得金額           基礎控除額
     改正後    改正前
           2,400万円以下     48万円    38万円
  (所得制限なし)
  2,400万円超    2,450万円以下     32万円
  2,450万円超    2,500万円以下     16万円

2 給与所得控除
 現在は最低65万円から給与収入の金額に応じて給与収入1000万円超で220万円の控除額が上限とされています。改正により最低55万円から給与収入の金額に応じて一律10万円引き下げることとされ、給与収入850万円超で195万円の控除額が上限となりました。

      給与の収入金額(A)        給与所得控除
     改正後    改正前
         162万5,000円以下     55万円    65万円
162万5,000円超   180万円以下(A)×40%-10万円(A)×40%
  180万円超   360万円以下(A)×30%∔8万円(A)×30%∔18万円
  360万円超   660万円以下(A)×20%+44万円(A)×20%+54万円
  660万円超   850万円以下(A)×10%+110万円(A)×10%+120万円
  850万円超  1000万円以下     195万円
 1000万円超     220万円

3 公的年金等控除
 公的年金等控除額を一律10万円(その他の所得に係る合計所得金額が1000万円を超え2000万円以下である場合は20万円、2000万円を超える場合は30万円)引き下げることとされ、公的年金等の収入金額が1000万円を超える場合の控除額について、上限を設けられました。

4 扶養親族の範囲
 扶養親族の範囲とされる合計所得金額要件が改正によりそれぞれ10万円づつ増額されました。
つまり、改正前と同じ範囲に調整されました。

5 配偶者特別控除
 対象となる配偶者の合計所得金額要件が改正により48万円超133万円以下とされ、それぞれ10万円づつ増額されました。つまり、改正前と同じ範囲に調整されました。

6 所得金額調整控除
 給与収入が850万円を超える人で、子ども(年齢23歳未満の扶養親族)のある人又は特別障害者である同一生計配偶者や扶養親族を有する人については、給与収入金額(1000万円を限度)から850万円を控除した金額の10%を給与所得の金額から控除する、また、給与所得と年金所得の双方を有する人については、給与所得控除後の給与等の金額及び公的年金等に係る雑所得の金額の合計額が10万円を超える場合、10万円を限度として給与所得の金額から控除するという所得金額調整控除が創設されました。
 これにより改正前と同じ負担に調整されました。

7 青色申告特別控除
 現在は65万円の青色申告特別控除の控除額が改正により55万円に引き下げられましたが、次の場合は65万円とすることとされました。
 ①「電磁的記録の備付け及び保存」又は「電磁的記録の備付け及びその電磁的記録の電子計算機出力   マイクロフィルムによる保存」をしている場合
 ②その年分の確定申告を提出期限までにe-Taxでしている場合

8 ひとり親控除の創設
 ひとり親(次の要件を満たす人)である場合には、ひとり親控除として、35万円を控除することとされました。
 ①その人と生計を一にする子を有すること(他の者の同一生計配偶者又は扶養親族とされている子を除き合計所得金額が48万円以下の子に限る)
 ②合計所得金額が500万円以下であること
 ③その人と事実婚の人がいないこと

税法も世相に合わせて変化していくものですね。他にも諸々改正されています。
詳しくは国税庁のホームページへどうぞ。