センスは知識からはじまる 水野学 著(朝日新聞出版)
「くまモン」の生みの親というと一番わかりやすいでしょうか。
クリエイティブディレクターであり慶応義塾大学で教鞭を執られる水野学さんの著書です。
センスとはなにか、センスを鍛えるにはどうしたらいいのか。
掴みどころのないセンスというものを、明確に定義し、感覚ではなく知識と言葉で説明し切ります。
センスのよさとはミステリアスなものでもないし、特別な人だけに備わった才能でもありません。
方法を知って、やるべきことをやり、必要な時間をかければ、誰にでも手に入るものです。P7
センスがいい商品をつくるには、「普通」という感覚がことのほか大切です。
それどころか、普通こそ、「センスのいい/悪い」を測ることができる唯一の道具なのです。P19
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「センスがよくなりたいのなら、まず普通を知るほうがいい」と僕は思います。
これは「普通のものをつくる」ということではありません。「普通」を知っていれば、ありとあらゆるものがつくれるということです。P20
なるほど!
人間というのは技術がその時点の限界まで進歩すると、ノスタルジックな思いに身を寄せ、美しいものを求める傾向があると僕は思っています。P45
創業者やオーナーたちが持っていたセンス、哲学、ポリシーが連綿と続いている企業は、自分で自分の価値をつくり出すことができると思います。「売れればいい」という姿勢ではなく、自分たちのセンスを大事にする資生堂のような会社も、経営者のセンスが企業の底力になっている一例です。
企業の美意識やセンスが、企業価値になる。これが今の時代の特徴です。P62
ものづくりのアイデア、実際の製品のデザインやアウトプット、流通先の選び方、売り場のつくり方、宣伝の仕方・・・・・・。ブランドの川上から川下までを見て、さまざまな切り口で解決法を見つけなければ、売れない。
そんなとき、幅広いセンスを持っていることは強力な武器となり、きっとあなたを助けてくれるはずです。
その武器は、誰にでも、いくらでも身につけることができる。P182
仕事や経営に「美」を求めるには、まずセンスを身につけることが必要かもしれません。
センスがない私にも、わかりやすく、面白かったです。