1任意である電子帳簿等保存の改正
電子帳簿保存法は、次の3つに区分されます。
①電子帳簿等保存<電帳法4条①②>
②スキャナ保存 < 〃 4条③>
③電子取引保存 < 〃 7条(旧10条)>
このうち③電子取引保存について、紙保存が廃止され電子保存が義務化されました。
①②については、紙によるか電子によるかは任意です。
2電子帳簿等保存の改正点
①税務署長の事前承認制度の廃止
これまで、国税関係帳簿を電子データで保存する場合には、事前に税務署長の承認が必要でしたが、この事前 承認が不要とされました。
②優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置が整備されました。
国税関係帳簿について優良な電子帳簿の要件を満たして電子データによる備付けおよび保存を行い、届出書の事前提出をした場合、その国税関係帳簿に関し申告漏れがあった場合のその申告漏れに課される過少申告加算税が5%軽減されることとなりました。
③最低限の要件を満たす電子帳簿についても、電子データによる保存等が可能となりました。
3優良な電子帳簿の要件
改正前の電子帳簿の要件をそのまま満たしているものが、「優良な電子帳簿」とされました。
一方、今回から認められた、最低限の要件を満たす電子帳簿が「一般の電子帳簿」となります。
改正前の電子帳簿の要件とは、次の6項目になります。
①記録事項の訂正・削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認できる電子計算機処理システムを使用すること
②通常の業務処理機関を経過した後に入力を行った場合には、その事実を確認できる電子計算機処理システムを使用すること
③電子化した帳簿の記録事項とその帳簿に関連する他の帳簿の記録事項との間において、相互にその関連性を確認できること
④システム関係書類等(マニュアル等)を備え付けること
⑤保存場所に、パソコン、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、速やかに出力できるようにしておくこと
⑥検索要件を満たすこと(A取引年月日、金額、取引先で検索できること B日付または金額の範囲指定で検索できること C二つ以上の記録項目を組み合わせて検索できること)
4一般の電子帳簿の要件
一般の電子帳簿となる最低限の要件とは、上記3の④、⑤を備え付け、さらに⑦税務署員による質問調査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしていること、となります。
つまり、マニュアルがきちんとあって、要求されたらすぐに電子帳簿等を出力できる状態で、税務署員に求められたら電子データのダウンロードに応じられるようになっている、ということですね。
5まとめ
この改正によって、電子データによる保存が以前より利用しやすくはなりますね。
ただし、電子帳簿保存法利用により青色申告特別控除額を55万円から65万円に変更する特典は、「優良な電子帳簿」のみ適用ですので、「一般の電子帳簿」では55万円控除のみです。
なんか、微妙、、、。