「大きな政府」は国を滅ぼす アメリカを2度復活させた繁栄の経済学
アーサー・B.ラッファー 著
成功が実証済みの経済学
本書は、ロナルド・レーガン大統領およびドナルド・トランプ大統領の経済顧問を務め、アメリカ経済を2度復活へと導いた理論家であり、「サプライサイド経済学の父」であるラッファー博士によるものです。
机上の空論ではなく、著者の実体験から経済を説明してくれているので、とてもスムーズに頭に入りわかりやすいです。
また、著者の交流のあった政治家たちロナルド・レーガン大統領やサッチャー首相などの人柄を著者の目を通して垣間見ることが出来てレーガン大統領に対する見方が全く変わりました。こんなに器のある人だったとは!
ただの俳優出身の大統領としか見ていなかったのですが、大統領として成果を残すには相応の人格があるものなのですね…
私の人生と、この本における私の使命は、あなたを説き伏せることではなく、世界がどのように機能しているのかに対して、あなたの目を開かせることにある。P6
「勤勉に働く人に課税し、働かない人に支払えば、多くの人が働かなくなる」P22
・・・そりゃそうだろと思う。
私は子供の頃、黒人の乳母に育てられました。黒人は肌の色が違うだけです。彼らが「貧困の罠」から抜け出せるようにするには、給付金やバラマキでは駄目です。仕事で報酬を得て初めて自尊心を高め、自分の人生に責任を取れる。だから減税や規制緩和に訴えることが重要です。P28
金持ちにたくさんの課税をして傷つけるべきだと考える人が世界に大勢いますが、それが夢であってはなりません。
私たちが抱くべき夢は、貧しい人々が豊かになれる機会を提供することにあります。P31
成果主義のない政府の運営は、腐敗がつきものです。縁故主義が流行り、有能な人ではなく、血縁関係者が採用されるようになりがちです。
バイデン大統領の息子のハンター・バイデンが中国で利益を上げるのと同じ構造ですね(笑)。P181
ケインジアンは課税によって経済のパイが影響を受けないと考えます。それは前もって実現したいアジェンダ(計画)があるからです。
彼らは支配の道具として、累進課税などで、政府による所得を再分配するというアジェンダを持っています。P188
こういう人たち計画のために後付けで理屈を作るから理屈通りに行かなくてグチャグチャになるのね。
クルーグマンみたいな人たちが、「貧しい人々を助ける」という名目で、公正さを装いつつ、彼らがまさに助けたいと願う貧しい人やマイノリティーの人々を傷つけていることが、私にはとても腹立たしいのです。P189
クルーグマンなどの経済学者は大きな組織のトップに立ちたいと思っています。良い製品をつくることでトップに立てないので、規制や税金をかけるといった形で組織の権力を牛耳ることで、トップに立ちたいのです。
私や私の経済を信じてくれる友人たちは、個々人の企業家精神や、自発性を信じています。そうした人たちは、政治家になろうとしません。
企業家精神を発揮できるビジネスに人生を投じます。ほかの人の人生をコントロールしたいと考える人は、政府の役人がいい仕事に見えるのです。
道理で政府には社会主義者やケインジアンがたくさんいるわけです。P190
クルーグマンはよくマスコミに取り上げられるので、マスコミはクルーグマンが好きなのですね。
経済学者が持つ哲学の違いが、社会に大きな影響をもたらすこと、さらには自分の中にもどちらの哲学に共鳴するか、という部分で学びの多い本でした。
所得税の最高税率を下げると「金持ち優遇!」ってマスコミが騒ぐし、そう考えてた自分に気が付きました。
一見そう見えるしさー。経済効果まで見えないから。自分で勉強しないとダメなんですね。
日本政府も完全に反対方向に走ってますね。